FMC Advent Calendar 2023 11日目

はじめに

この記事は FMC Advent Calendar 2023 の11日目の記事です。

昨日はkits_さんによるFMC Advent Calendar 2023 (2) 思考過程でした。

明日はうぃるうぃるさんによるもちろんRouxです。

 

こんにちは。Shotaです。今日はscramble (2)を解いていきます。よろしくお願いします。

 

結果

scramble: R' U' F D2 F' B R2 U B2 R2 F' R' D2 L F2 D2 F2 D2 R' L2 U2 D2 F' R' U' F
solution: D' F2 U' B L2 R B R' U2 B' D2 R2 F2 D2 F' R2 F B2 R (19 moves)

なんとSub20が出ました! 試技(1)が21手だったので暫定平均は20.00です!!

このソルブは11月25日、大会前最後の練習として行った*1のですが、大会での初試技WRに繫がる良い伏線になったのではと感じています。
 

思考過程

EO

いつも通り、4手以下のEOを書き出します。以下、見つけた順に

R (U2 D' R), U' R2 D, D' F2 U, U D2 L2 D, D U2 B2 U, D (L' F' U), (B R' U2 F), (B U R' F), (R* L' B L), (R) R' B2 R, (R) L' D2 L

3手EO2つ、4手EO10個です*2。4手以下のEOが多いのは良い事ですが、書き出すのに思いの外時間がかかってしまい、7分も消費してしまいました。

DR

3手EOから順に探索していきます。RZPは基本的に最短EO+2手以内を目安にしています。(今回ならRZP≦5)

U' R2 D' // EO
①: F* L F2 B2 L2 B R B // DR 2c3, 2c5*3 (8/11)

②: F (F2 B2 R2 L2 B R' B) // DR 2c4 (8/11), 2c4 (9/12)*4

③: L' F L F2 L F2 B2 R U(w)2 L2 B // DR 2c4 (11/14)

さて、1つめのDRでいきなりDQ*5≦14を満たすものができました。幸先が良いですね。

このEO直後のNISSは後回しにし、もう一つのノーマル3手EOを探索します。

D' F2 U // EO
F2 B2 R' // DR-2e3c

このEOは良い5手RZPが見つかりませんでした。本来ならここで諦めて別のEOに移るべきですが、6手RZPが"見えて"しまいました。

2e3cはセットアップが容易な可能性が高いので、一応続けてみます。以下、このRZP後

④: F' U2 F' R' F R // DR 4b2 (6/12), 2c4 (7/13)

⑤: (L2 U(w)2 B' L F' L) // DR 2c4 (6/12), 4a4 (7/13)

⑥: (F' L2 F' R B' R) // DR 4b3 (6/12), 4b5 (7/13)

DQ=14が1つ見つかりました。①は3QTですが④は2QTなので、④が第一候補になります。

このEO(のノーマルRZP)はこのくらいでいいでしょう。

続いて、普段ならノーマルの4手EOを見ていくのですが、今回発見した U D2 L2 D, D U2 B2 U はいずれも今見た3手EOにE2のスライスインサートを施したものになっています。

U D2 L2 D = E2 U' R2 D y2
D U2 B2 U = E2 D' F2 U y2

ところでこのE2をした時点(つまりノーマルのスクランブル直後)でのE層のエッジを見てみると、HTR的に同等なエッジ(HTR後に同スライス上に来るエッジ)が対角に配置されており、E2をしても対面色同士が交換するだけになっています。
つまり、これらの4手EOは先ほどの3手EOと、少なくともHTRを作るまでは全く同じ形なのです。
したがってこれらのEOはそもそもDR探索する必要が無いので、3手EOからのNISSを試みます。

D' F2 U // EO
⑦: (R F L2 F2 R2 B2 L B' L) // DR 2c3 (9/12), 4a3 (10/13)

⑧: (R) U2 B L2 R B R // DR 2c3 (7-1/9)

例によってDR-2e3cなのですぐにNISSも試します。

DQ=12が一つ見つかりました。しかも2c3は3QTの中でも全てのQT間のHTが最少1回で済む最も簡単なパターンです。

この辺りで27分くらいなので、十中八九採用DRはこの⑧で決定でしょう。9手以下のDR自体そんなに見つかるわけでもないので、もうここでDR探索を切り上げても良いのですが、せっかく時間をオーバーして書いた4手EOを見向きもせず捨てるのは惜しいので、30分になるまでは4手EOを確認します。

前回はこの確認で30分を5分も超えてしまったので、今回は絶対に30分で諦める心積もりです。

(R) R' B2 R' // EO (4/4)
⑨: F U' B2 U' L2 U' F2 D B // DR 2c3 (9/13)

はい。なんの成果も上げられませんでした。

この最後の時間潰しEOチェックで採用に至るDRを見つけた試しが無いのですが、やはり変な悪あがきはしないべきなのでしょうか。

採用するDRを⑧で確定し、HTR探索に入ります。

⑧:
D' F2 U' // EO (3/3)
(R) B L2 R B R // DR (6/9)
 

HTR

まずノーマル側から探索……と思いましたがこちら側だとDRトリガーの最後の1手をRとR'のどちらにしても、QTを減らすにはHT(180°回転)を1手以上(U(w)2など)挟む必要があります。

  • DRの最後の1手
  • その次のHT

でHTRへの道が最初の時点で少なくとも4つに分岐しており、ちょっと面倒くさいので一旦これは置いておいて、インバース側から探索します。

➊: (R2 F L2 F' [3] L2 U2 [2] B) // HTR (7-1/15)
(B2 U2 [1] R2) // 2e4E (3-2/16)

幸いなことにインバースだとDR後1手で2QTになり、更に1HT進めるだけで4手トリガーにセットアップできます。

このトリガーは [F' Lw2 U2 B] でも可能ですが、ひとまずブロックを保存しそうな [F' L2 U2 B] を選ぶと、なんと+1手で2eのスケルトンになりました!

(このスケルトンを確認した上で、戻って [F' Lw2 U2 B] のパターンも試しましたが、これを超えるものはできなさそうだったので捨てました。)

16手2e+Esliceはかなり前途有望です。実際インサートしてみると、すぐに6-3手が見つかります。さらに遡ると、同じく3手のインサートが2つ見つかりました。

  • [1] = U2 B2 D2 B2 U2 F2 // 3E (6-3/19)
  • [2] = U2 F2 U2 B2 D2 B2 // 3E (6-3/19)
  • [3] = F(w)2 U2 F2 L2 U2 F(w)2 U2 L2 // 2E2E*6 (8-5/19)


2c3で10手のスライス残しはほぼoptimalでしょう。スライスインサートを後回しにして事故っても仕方がないので、この場でスライスインサートをして解答を完成させます。まずは最初に見つけた [1] によるLeave Sliceから。

DR⑧後、

(R2 F [S] L2 F' [S] L2 U2 B D2 B2 U2 F2 [S2] R2) // 3E (12-2/19)
[S] = S, [S2] = S2 // finish (6-5/20)

結構ちゃんと探したのですが、+1手しか見つかりません。(Slicy Finderによるとこれでoptimalのようです)

次に [2] を試します。

(R2 F [S] L2 F' [S] L2 F2 U2 B2 [S2] D2 B U2 R2) // 3E (12-2/19)
[S] = S, [S2] = S2 // finish (6-5/20)

これもダメ。(SFによるとこれでoptimalです)

インサートの仕方もほとんど [1] と一緒ですね。なんかそうなりそうな気がしてました。

次。

R2 F [S2] L2 F U2 F2 L2 U2 F2 B' [S2] U2 R2) // 2E2E (12-2/19)
[S2] = S2 // finish (4-4/19)

出ました。0手。(SFによると以下略)

今考えたらFとBの同時回しが残る[3] のインサートから試すべきでしたが、全く気付いていませんでした。

私はインサートを探す時、先ほどの [1] ~ [3] のように手順を列挙するのではなく、以下のように ①どこに ②何手の インサートがあるかのみをメモしているのでこういうことが起こるのだと思います。


スライスインサートでキャンセルできる可能性があるときはそれもメモしておく、あるいは最低限そう意識しておくべきだという学びを得ました。

さて、19手の解答ができたものの、インサートとスライスインサートを非常に念入りに探したため、かなりの時間を費やしてしまいました。この時点で50分程度経過していたと思います。

2c3で10手はかなりoptimalみが高いですが、一応残り時間で別のHTRも探していきます。

前述した通り、ノーマルから直接(NISSせずに)HTRを作るのは気が乗らない(←おい)のでインバースでQTを減らしてからノーマルでHTRトリガーを使うことを考えます。

➋: (R2 F L2 F) R2 U2 B' // HTR (7-2/14)
D2 R2 B2 U2 // 2E2E (4/18)

➊のHTRは既に最短の3手でQTを2減らせているので、その直後でNISSしてみると、キャンセル含めて5手でHTRになりました。しかもそこから+4手でスライス残し!

残り時間も少ないので何も考えずに急ぎスライスインサートをします。

(R2 F [S2] L2 F U2 B2 [S2] R2 D2 B U2 R2) // 2E2E (11-2/18)
[S2] = S2 // finish (4-3/19)

残念! +1手しかありません!

もう残り3分くらいなので、今のでもさっきのでもどっちでも良いですが解答を書き下して終わりにします。

……と言いつつメモを俯瞰したら気付きましたが、これどっちも同じ解答ですね。
これだけ短い解だと、途中でNISSをしても結局逆側から同じ解をなぞる事になってしまうのは必然な気もします。

せっかくならノーマルから3QTで直接HTR、あるいはインバースで1QT→ノーマルで2QTのパターンをやれば良かったな、などと考えながらペンを走らせ、解答完了です。

清書は以下の通りです。

D' F2 U' // EO (3/3)
(R') // DR-2e3c (1/4)
B L2 R B R' // DR 2c3 (5/9)
(F $ L2 F) U2 B' // HTR (5/14)
D2 R2 B2 $ U2 // 2E2E (4/18)
$ = S2 // finish (4-3/19)

∴ D' F2 U' B L2 R B R' U2 B' D2 R2 F2 D2 F' R2 F B2 R (19 moves)
 

終わりに

結果について

最後に何かぼやいていましたが、普通にこれでDR後(なんならEO後も)optimal finishだったようです。

唯一見つけた9手以下のDRが10手で解決可能という割とラッキーな回でしたが、しっかりその10手を導出できたのは良かったと思います。

冒頭でも述べましたがこれでmo2 = 20.00、普段と比べるとだいぶ上振れしているので、このまま3試技目もいつも通りくらいで良いので落ち着いてmeanSubNRを目指したいです。


次回へ続く

*1:※この記事自体は大会後に書いています

*2:実際にはあと4手EOが6つ存在します。 ( L2 D' F2 U, B2 D' F2 U, L2 U' R2 D, B2 U' R2 D, (R' B U2 F), (R' F R2 B) )見落としすぎですね。特に最初の4つに関しては、3手EOの最初にL2やB2をしても変わらないというのを完全に失念していました

*3:前者がF*をF, 後者がF*をF'にしたもの

*4:前者がDRトリガーをB R' B, 後者がU2 B R' Bにしたもの

*5:DRまでの手数+DR後コーナーを揃えるのに必要な90°回転の数。DR Quotient, DR指数の略。私が個人的に使っている用語であり、一般的な名称ではないはずなので悪しからず。

*6:複号は両方F2、又は両方Fw2